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鉄道旅行の基礎知識  −意外な鉄道のアドバンテージ−

今の時代、幸いにも航空機(ヒコーキ)や高速バス、自家用車(クルマ)、フェリーといった利便性の高い交通手段が発達し、鉄道(電車)はその中の選択肢の一つとなりました。確かに、大都市圏における通勤・通学の交通手段としては、電車は今でも選択肢の最上位に位置されるでしょう。しかしながら、500キロ以上移動する場合は「速い」からヒコーキ、レジャーで家族旅行に出かける場合は「安くて便利」だからクルマ、という発想がまず思い浮かぶのが正直なところです。
 でもちょっと待ってください。それがホントに最適なのでしょうか?


電車はヒコーキより速い!

 ここでクイズを一問。
 「広島に急用ができたA子さんは、朝の5時30分に東京の町田駅に立っています。この時間から広島駅に一番早く到着する手段を次の中から選んでください。(航空機利用の条件は、出発到着それぞれ前後30分の余裕時間を考えるものとする。また、タクシー、ならびに自家用車利用は考えない。)」

(1):羽田空港から広島空港行きの航空機を利用
(2):新横浜から「のぞみ99号」を利用
(3):羽田空港から岡山空港行きの航空機を利用
(4):高速バスを利用

 正解は(2)。
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空港までの距離にもよるが、東京〜広島間は
「のぞみ」の方がヒコーキよりも速い!
 5 時40分発の横浜線に乗って、新横浜 6時11分発の「のぞみ99号」を利用すれば9時42分に広島駅に着きます。対して航空機の場合では、羽田までリムジンバスで1時間、搭乗まで30分の余裕時間を取ると8時過ぎに出発するJAL便になります。広島空港到着は9時30分で、空港バスに乗り継いで広島駅新幹線口着が何と11時前。「のぞみ」利用の方が1時間以上も早く着くのです。

 新幹線に限った話かもしれませんが、鉄道は一般に認識されているよりもかなり速いのです。東京を起点に考えた場合、羽田空港までの距離にもよりますが、秋田・金沢・京阪神・岡山・広島はもちろん、九州の小倉でもトータルの所要時間ではいい勝負か新幹線の方が短いケースが見受けられます。


電車はクルマより経済的!!

 鉄道は、人数分の運賃・料金が掛かるが、クルマは何人乗ってもガソリン代と高速道路料金だけですむから安上がりだ、という意見をよく耳にします。確かに「そのときの」出費だけで考えるとその通りかもしれません。しかし、自家用車というのは、ガソリン代と高速道路料金以外の費用がずいぶん掛かっているのです。たとえば、1ヶ月に一度程度しか遠出しないとすると、車両購入代金と車検費用の月割り分、自動車税、それに駐車場代を上乗せしてはじめて公正な費用比較となります。
具体的には、

本体価格200万円の1800ccのクルマに7年乗ったとして:23810円/月
5年に2回、15万円の車検費用がかかったとして:5000円/月
自動車税が1800ccのクルマだと39500円/年だから:3292円/月
月10000円の駐車場を借りたとして:10000円/月
合計で42102円が月当りの維持コスト・・・(A)※現実には、保険代がさらに上積みされます

このクルマで、たとえば大阪から2泊3日で、2008年12月下旬の冬休みに、お父さん・お母さん・小学生2人で東京ディズニーランドに遊びに行った場合

吹田〜東京IC間、名神・東名高速道路のETC深夜割引(22時〜6時)を使ったとして
高速道路の通行料金:13000円・・・(B)

1リットル当たり10キロ走る車で往復約1100キロ走ったとして
ガソリン代(1リットル当たり100円として):11000円・・・(C)

東京ベイホテル東急ファミリールーム朝食付で2泊したとして
全員で2泊分:およそ85000円・・・(D)

合計:(A)+(B)+(C)+(D)=151102円


対して、同じメンバーで、新幹線を利用したパッケージツアーで同一行程をたどった場合

トップツアーの「東京ディズニーリゾート®・どっきりスペシャル」の、東京ベイホテル東急ファミリールーム朝食付プランを選んだ場合
おとな33000円/1人× 2=66000円
小学生23000円/1人×2=46000円
合計:112000円
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車内でくつろぐことができるのが鉄道の魅力


 しかも鉄道は自分で運転するストレスとは無縁の存在。要するに「運転手付き」なのです。もちろん、クルマは日常の買い物とか子供の送り迎えなど、ほかにも使い道がありますので、維持コストを丸々加算するのは無理があるかもしれません。しかし、このように考えると、鉄道は決して不経済な乗り物ではないことをご理解頂けるのではないでしょうか。


電車は高速バスより快適!

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「白いかもめ」の料金は
高速バスと同額
 地方都市間を中心に、昼行・夜行問わず高速バスが幅を利かせる時代になりました。確かに、鉄道では乗換えを要する区間でも直通で結ぶきめ細かい路線網を持ち、重宝する場合もあります。しかし、車内を自由に動けないとか、揺れが大きいので本を読むと気分が悪くなるとか、デメリットも多いのです。バスでは車酔いを起こすが、鉄道なら平気というこどももたくさんいます。夜行バスだと席についたらそのまま座席をリクライニングさせて仮眠を取るしかありませんが、鉄道だと廊下の補助席やデッキなどで車窓を眺めたりして気晴らしもできますし、寝台車ならば横になって眠ることができるのです。また、バスの場合、渋滞に引っかかればその後のスケジュールが大幅に狂うケースだって考えられます。鉄道も遅れることはありますが、バスよりも頻度は少ないように思われます。さらに、バスの方がねだんも安いように思われがちですが、トクトクきっぷやパッケージツアーを利用すればトントン、あるいは逆転することもあり得るのです。
 たとえば、博多〜長崎間では、JR九州の企画きっぷ「4枚きっぷ」を使えば1枚当たり2500円。これは、同じ区間を走るバスと同額です。


24時間体制で動く電車の有効な活用法

 またまたクイズを一問。
 「夜9時ごろ、急に小倉出張が決まったB夫さんは、夜10時前に東京駅へ駆けつけました。この時間から小倉駅に一番早く到着する手段を次の中から選んでください。(但し、航空機利用の条件は、出発到着それぞれ前後30分の余裕時間を考えるものとする。また、タクシー、ならびに自家用車利用は考えない。)」

(1):翌朝初発の航空機を利用
(2):翌朝初発の新幹線を利用
(3):その晩発の「サンライズ瀬戸・出雲」を利用
(4):その晩発の高速バスを利用

 正解は(3)。
 東京22時00分発の「サンライズ瀬戸・出雲」を利用して姫路で「ひかり441号」に乗り継げば8時17分に小倉駅に着きます。対して翌朝の航空機の場合では、朝4時頃に起きて眠い目をこすりながら一番電車に乗って羽田へ駆けつけて、初便の福岡空港行きJAL便を利用しても9時ごろになってしまいます。翌朝初発の「のぞみ」だと10時33分になるので論外。その晩発の高速バス「はかた」号だと新宿のバスターミナルを21:00に出発しますので間に合いませんし、博多駅到着が翌朝11:10。小倉到着は正午前になるのでこれも論外。なお、航空機で北九州空港行きのスターフライヤー深夜便がありますが、北九州空港到着が未明の1時。連絡バスもなく、ターミナル周辺に宿泊施設がほとんどないことから現実的ではありませんし、仮にタクシーで小倉に向かい、そこでホテルに宿泊したとしても眠る時間がほとんどありません。

 在来線は、24時間体制で動いているので、夜中の時間帯をうまく使って移動することが可能。「サンライズ瀬戸・出雲」の寝台は、ホテルのような個室でシャワーも付いており、ゆっくりくつろいで大事な明日に備えることができるでしょう。数が少なくなった夜行列車ですが、時には強い味方になることもあります。


ほかの交通機関と組み合わせるのも効果的

 航空機、自家用車、バスに対して鉄道の有利性を書いてみましたが、決して他の交通機関を否定しているわけではありません。仮に、一般論からいえばもっとも鉄道が優位で効率的な手段であったとしても、お年寄りや足の不自由な人や乳児連れなどの場合などは、自家用車利用もやむをえませんし、ドライブが趣味でわざわざ自家用車を使う人を咎めるつもりもありません。第一、そのような権利は持ち合わせていません。
 基本的には、航空機は点と点同士を直行。鉄道は点と点を線でカバー。バス・自家用車は、面的なカバーが得意な乗り物ということでしょうか。あくまでも、鉄道がどのような特徴を持つのかを列挙してみたに過ぎないのです。


パーク&ライド利用のススメ

 JR西日本、およびJR四国では、「パーク&ライド」というサービスを行なっています。これは、簡単にいえば、「駅まではクルマで、その先は新幹線や特急をご利用ください。そういった特定の利用形態の場合に限って、駅の駐車場を無料、または割引でご提供いたします。」という内容です。どこ方面のどこで発売されたきっぷを持っていれば適用されるとか、駐車料金が1日だけ無料になる、3日間までは無料、割引になるだけ、予約の可・不可など、条件は場所によって異なりますが、山陽本線の西高屋駅や山陰本線の長門市駅のように、新幹線の往復利用商品を持っていれば、旅行期間中無料というところもあります。また、山陰地区では、定期券と月極駐車場がセットになって、駐車料金が割引になる駅もあります。地球環境保護が叫ばれている今日、その流れに即した制度なのでしょう。将来的には、全国的に普及していくものと思われます。


あらゆる交通機関を組み合わせて南九州を旅行する

 たとえば東京在住の人が南九州を旅行するとします。まず、往復の交通手段ですが、鉄道ですと初発の「のぞみ」で出発し、「リレーつばめ」〜「つばめ」と乗り継いでも午後にしか着きませんが、航空機ならば片道のフライト時間はわずか1時間半。ここは迷うことなく速さで勝る航空機を選択。羽田空港には大きな駐車場がありますから、ラッシュ時に大きな荷物を抱えて混みあう電車やバスに乗るのは気が退けるので 自家用車を使って、時間に余裕を持って空港へ向かいます。往路は鹿児島空港に入り、鹿児島市内までは、乗換えなしで速くて快適なリムジンバスで。鹿児島市内の観光は、市内をくまなくネットワークする 路面電車と市内バスの一日乗車券を使ってめぐり、夕刻のJRで宿泊先の指宿へ。

 2日目、レンタカーを利用、または観光タクシーをチャーターし、フットワークを生かして、知覧(ちらん)→桜島→霧島とドライブして霧島温泉泊まり。

 3日目、レンタカー、または観光タクシーでえびの高原をドライブし、都城で乗り捨ててJRで宮崎へ。

 4日目、青島経由飫肥(おび)往復。堀切峠の絶景を見たいから往路はバスを利用(JRのこの区間はトンネルで通過)。復路は時間に正確な JRで宮崎空港へ直行しそのまま帰京。空港から自家用車で帰宅。

 重要なことは、それぞれの交通機関の性格と特徴を理解し、状況に応じた使い方をすることです。そうすれば、移動の目的がビジネスであれレジャーであれ、充実したものになるでしょう。なお、別のコーナーで説明する、各旅行会社が発売する「格安パッケージツアー」には、このようなさまざまな乗り物を選んで、組み合わせることのできる商品もあります。しかも、それらの乗り物の一部は割引価格。さらに、羽田空港周辺の駐車料金や、空港近くの指定のホテルでの出発前日からの前泊料金が割引になる場合もあります。詳しくは、「格安ツアーを使おう」ページにて。