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鉄道雑学あれこれ
−日常何気なく接している光景のウラ側には・・・−

 このコーナーでは、鉄道に関する雑学的な話題をご提供します。とはいっても、専門的なむずかしい話ではなく、日頃、何気なく接する機会の多い事象を中心に据えたいと思います。不定期に更新しながら徐々に内容を追加してまいります。通勤・通学で駅で電車を待っているとき、旅行で車内でくつろぎながら車窓を眺めているとき、「そういえばこんな話が載っていたなぁ…」と思い出していただければ幸いです。


<Vol.5>利用客の多い駅は?

 クイズを一問
 全国のJRの駅で、もっとも利用客が多いのは次のうちどこでしょう?

(1):東京駅
(2):新大阪駅
(3):上野駅
(4):新宿駅

 正解は(4)。

 意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、トップは東京駅ではありません。


利用客のカウント基準

 駅の利用客は、通常「乗降人員」という基準でカウントされます。そしてその中には「乗車」「降車」という2つの要素をそれぞれ基準を設けて算出します。

 「乗車」は、大まかにいうと、きっぷの販売枚数。そして、この枚数にも種類によって換算基準が存在。普通の片道きっぷは1枚、往復きっぷは2枚、回数券は11枚、一日乗車券は5枚、定期券は購入月数× 60枚・・・というものです。

 次に「降車」は、定期券以外の乗車券は、「着札調査」によってどの駅から乗った人が、どの駅で降りたかの「着駅分布率」、定期券は乗車人員と同数をカウントします。

 そのように算出された数値が利用客数となるわけですが、ここでクイズをもう一問。
 利用客トップの JR新宿駅の一日平均「乗降人員」は、およそどのくらい?

(1):神戸市の人口
(2):甲子園球場の収容人員
(3):2006年の1年間に生まれた新生児の数
(4):全国のジパング倶楽部会員数

 正解は(1)

JR新宿駅
JR の駅の中で利用客数トップは新宿駅。
一日平均の乗降人員は、神戸市の人口に匹敵
 JR東日本の公式発表によると、2007年度の新宿駅の一日平均「乗車人員」は、785,801人。「乗降人員」はおよそ2倍ですから、およそ157万人となり、これは神戸市の人口(約153万人)に相当することを鑑みても、その凄さをご想像いただけるのではないでしょうか。そして聞くところによれば、この数は日本だけでなく、世界でもトップだそうです。
 以下、JR・私鉄・地下鉄別に、利用客の多い駅をピックアップしてみることにしましょう。

 (参考:甲子園球場の収容人員=約4万7000人)
 (参考:2006年の 1年間に生まれた新生児の数=約106万人)
 (参考:全国のジパング倶楽部会員数=約120万人)

JRの場合

JR池袋駅
JR渋谷駅
利用客数第2位は池袋駅、第3位は渋谷駅
いずれも山手線のターミナル
 新宿駅に次いで 2007年度の利用客の多い駅、つまり、利用客数第2位は池袋駅で一日平均「乗車人員」(以下同)589,837人(乗降客数=約118万人)、第3位が渋谷駅で445,730人(乗降客数=約89万人)と山手線のターミナルが続き、第4位には、関西の大阪駅が425,010人(乗降客数=約85万人)でランクイン。
JR大阪駅
利用客数第4位は大阪駅
首都圏以外からは唯一のトップ10入り








そして5位が再び関東に戻って横浜駅の403,394人(乗降客数=約81万人)。利用客数トップ5は、いずれも私鉄や地下鉄が何線も乗り入れているターミナルであり、純粋にその駅が最終目的地である利用客に加えて、他社線への乗換え客が相当な数を占めていることがわかります。

そして、第6位にやっと登場するのが東京駅で396,152人(乗降客数=約79万人)。これは、トップ5の駅と違って、他社線の乗り入れが東京メトロ丸ノ内線だけで乗換えターミナルという性格を帯びていないということや、かつて、東京駅周辺にあったビジネスの拠点が、副都心へと移転して行ったこと(例:都庁・JR東日本本社)などが要因として挙げられます。実際、副都心が今ほど整備されていなかった昭和30年代には、東京駅が利用客数でトップを獲得した年度もあったそうです。

 第7位以下は、品川、新橋、大宮、秋葉原の順。11位以下は、高田馬場、北千住、名古屋、川崎、上野、京都、有楽町、立川、田町、浜松町で、ここまでがトップ20となります。

私鉄の場合

京王新宿駅 
私鉄の駅の中で利用客数第1位は京王新宿駅
本線と新線の2駅を合計しての数字
 次に、JR以外の私鉄に目を向けてみましょう。少し古い資料になりますが、2004年度の都市交通年報によりますと、トップは京王新宿駅の350,342人(乗降客数=約 70万人)。

 次いで第2位が阪急梅田駅の329,506人(乗降客数=約66万人)。ただし、京王新宿駅は、通路でつながれているものの別の場所にある本線と新線の 2駅の合計であるのに対し、阪急梅田駅は同一構内・同一平面の駅での数字ですから、実質的にはこちらがトップといっても差し支えないかもしれません。

阪急梅田駅 
京王新宿駅に次いで第2位は阪急梅田駅
同一平面に9線が並ぶターミナルは壮観
 以下、第3位が東武池袋駅の260,367人(乗降客数=約52万人)、第4位が西武池袋駅の 254,674人(乗降客数=約51万人)、第5位が小田急新宿駅の246,132人(乗降客数=約49万人)と続き、第6位には相鉄横浜駅が 218,074人(乗降客数=約43万人)でランクインします。

 なお、同じ資料によると、東急渋谷駅の508,337人(乗降客数=約101万人)というのがありますが、まったく別の場所にある東横線と田園都市線の合計で、しかも、直通運転を行なっている田園都市線と東京メトロ半蔵門線との直通乗客をすべて含んでの数値ですので、対象からはずしました。

地下鉄の場合

御堂筋線梅田駅 
全国の地下鉄の駅の中で利用客数第1位は
大阪の御堂筋線梅田駅
アーチ天井の立派なホームが特徴
 今度は地下鉄です。東京メトロは2007年一日平均、大阪市営地下鉄は2007年11月13日の資料で比較(単位=乗降客数)してみますと、第1位は梅田駅(東梅田駅・西梅田駅含む)の738,325人。第2位は池袋駅(丸ノ内線と有楽町線の合計)で491,958人。

 こと地下鉄に関しては、新宿・池袋・渋谷といった東京勢を抑えて、大阪の梅田がダントツ。さらに御堂筋線梅田駅だけを見ても460,859人と、池袋駅 2線分に肉薄する凄さ。

 第3位には、これまた大阪の難波が371,053人でランクイン。以下、北千住、大手町、銀座と続きますが、2006年度の乗車人員の統計しかない名古屋市営地下鉄の名古屋駅(東山線と桜通線の合計)乗車人員165,233人を2倍に換算すると330,466人になりますので、第4位に割って入ることになります。

 この結果だけを眺めてみると、東京の地下鉄の利用者数が少ないような印象を受けるかもしれませんが、大阪は御堂筋線、名古屋は東山線の輸送量だけが他線区にくらべて際立って大きいのが原因。東京よりむしろ、大阪や名古屋の方が、域内の一極集中は著しいのかもしれません。

地下鉄全線で比較してみますと、東京メトロ・都営地下鉄を合わせた一日平均の輸送人員(2007年度)は、大阪市営地下鉄の約4倍、名古屋市営地下鉄の約8倍です。

乗降客数の推移で読み取れること

 昭和50年前後の国鉄による全国乗降客ランキングデータ数年分をひも解いて見ますと、トップの新宿、2位の池袋は不変。3位から5位を渋谷、大阪、東京の3駅が入れ替わりで占め、6位以下に新橋、高田馬場、有楽町、上野、天王寺、秋葉原、神田あたりがトップ10に顔を出すか出さないか、といった図式になっています。

 さらにトップ20までを眺めてみますと、そのうち山手線の駅が10駅、そして先述の大阪・天王寺に京橋・鶴橋を加えた大阪環状線の4駅が常連。

 ところが現在では、横浜・大宮・北千住・川崎・立川といった首都圏周辺部の躍進が目立ち、対して上野・有楽町・神田あたりがトップ10やトップ20からすべり落ちています。このことは、この30年余りで東京を中心とするJR以外の路線整備が進み、都心への入り口で山手線に乗り換えなくても直通できる機会が増えたことと、首都圏の都市規模が、ここ数十年で大きく膨張したことを物語っています。

 また、当時はトップ20ランク外だった名古屋駅が13 位、京都駅が16位に躍進。これは、名古屋、京阪神近郊のJR利用者が大幅に増加したことによるものですが、その反面、当時の国鉄大阪駅をも凌駕するほどだった阪急梅田駅が、今やJR大阪駅に20万人以上の差を付けられるほどに。JRの躍進と、それに伴なう名鉄や近畿各私鉄の地位低下を如実に表わしたいささか残念な数字であることを読み取れます。

 さらに、トップ20の常連だった大阪の天王寺・京橋・鶴橋が近年、トップ20から姿を消している現状からは、大阪を中心とするJR以外の路線整備が進み、都心への入り口で環状線に乗り換えなくても直通できる機会が増えたこととともに、ここ数十年の間にかなりの勢いで東京一極集中が進んだことがわかります。

当時の阪急梅田駅は、私鉄の中では2位以下に15万人以上の差をつけて堂々の1位。在京私鉄のどのターミナルも足元にも及びませんでした。

 駅の乗車人員、または乗降客数は、鉄道会社各社のHPや都道府県の都市統計で公開されていることがあります。

 たとえば、JR東日本であればこちら、JR西日本であればこちら、東京メトロであればこちら、大阪市営地下鉄であればこちら、大阪府であればこちら、といった具合です。

 皆さんの自宅の最寄り駅、職場の最寄り駅も掲載されているかもしれません。 

<Vol.4>電車の寿命はどのくらい?

 

 皆さんは、家電製品やクルマをどの程度の年数で買い換えますか?多くの場合、家電製品なら新モデルの登場や故障、クルマの場合は車検の時期に合わせて… といった都合で、5〜10年といったところでしょうか。

 では、鉄道車両はいったい何年くらい使えるものなのでしょう?


「平均寿命」は20〜40年

 鉄道車両の寿命について何か決まりは?と見ていくと、財務省の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」では、電車の法定耐用年数は 13年、機関車は 18年、ディーゼルカーは11年とあります。ただ、これはあくまで会計上の減価償却期間のこと。実際の車両の耐用年数というわけではありません。

 現在、日本国内で通常の営業運転に使われている最も「長寿」の鉄道車両は、大阪の路面電車、阪堺電気軌道のモ161形。 1928(昭和3)年製ですから、80年以上走り続けてきたことになります。

 イベント用などに保存されている車両を含めれば、蒸気機関車(SL)はほとんどが戦前生まれですし、長崎の路面電車、長崎電気軌道には1911(明治 44)年生まれの木造車両もあります。手入れや修理次第では、鉄道車両はかなり長持ちするわけです。

小田急電鉄9000形
小田急電鉄の9000形電車
登場から34年で引退した
 しかし、これらはあくまで例外的な存在で、ほとんどの車両は、長くとも登場から30〜40年程度で引退の時を迎えます。2006年春に引退した小田急電鉄の9000形電車は、1972(昭和47)年の登場。34年でリタイアしたことになります。

 時速200キロ以上の高速で走る新幹線はもっと短く、15〜20年程度。08年11月末で引退した0系の場合、最後まで残ったのは 20数年前、1980 年代前半に造られた車両でした。

 基本的には、鉄道車両は20〜40年程度使い続けることを前提に造られていると考えてよいでしょう。


「引退宣言」するのはどんなとき?

 では、鉄道車両が引退に至る要因にはどんなものがあるでしょうか。スポーツ選手の引退会見などでは「プロとして限界を感じました…」といったコメントがよく見られますが、電車はどんな理由で引退するのでしょうか?

 鉄道車両は当然ながら、走り続けるうちに車体や部品が痛んできます。特に車体が鋼鉄製の場合は、風雨にさらされて走っているうちに各部が錆びて劣化し、補修が必要になります。また、デビュー時はピカピカだったインテリアも痛んだり、「古臭い」デザインになってしまったりするのは仕方ありません。

 このため、多くの場合は登場から15年程度で機器やインテリアのリニューアルが行われます。しかし、さらに15年程度を経ると、車体の傷みに伴う修理費用は以前よりもかさみ、交換用の部品も手に入りにくくなってきます。その結果、多額の費用をかけてもう一度リニューアルを行うよりは新車に置き換えたほうが低コストと判断され、廃車される…というのが、よく見られるパターンです。

 1970年代以降増えているステンレス製やアルミ製の電車は、錆びない素材を使っているため、車体の傷みはそれほど問題になりません。制御システムやインテリアをリニューアルすることで、最新型と同レベルの車両に生まれ変わることも不可能ではありません。

 しかし、部品の交換には多額の費用がかかります。また、近年は車両製造技術の進歩や部品・設計の規格統一などで、以前よりも車両製造コストが下がっています。このため、鉄道会社によっては新車を造ったほうがトータルでは有利と判断して、リニューアルより廃車を選択することもあります。鉄道会社のポリシーにより判断が分かれるところです。

JR東日本209系電車
京浜東北線の209系電車
すでに引退が始まっている
 リニューアルより新車導入を選ぶ鉄道会社の代表格はJR東日本です。1993(平成5)年から京浜東北線に導入された209系電車は、登場から15年を経て機器類を更新する時期を迎えましたが、同社はこの車両をリニューアルするよりも、より省エネルギーの新型車両に置き換えることを決め、すでに交代が始まっています。




東京メトロ千代田線6000系
東京メトロ千代田線の6000系電車
行先表示も最新のLED式に
 対照的といえるのは東京メトロ(旧営団地下鉄)でしょう。現在、同社の車両はすべてアルミ製で、基本的にはリニューアルを行いながら長期間使い続ける方針とされています。千代田線を走る6000系電車は1968(昭和43)年〜91(平成3)年に製造され、初期の車両はすでに登場から40年近く経過していますが、制御システムやインテリアのリニューアルが行われ、中には最新型にも劣らない性能に生まれ変わった車両もあります。


 また、ダイヤや路線環境の都合で引退を余儀なくされる車両もあります。 2階建て車を連結し、「ニュー新幹線」として華々しくデビューした東海道・山陽新幹線の100系がその好例です。

新幹線100系
山陽新幹線の「こだま」に残る100系
 100系は 1985(昭和60)年〜91(平成2)年にかけて造られ、「ひかり」の主力として活躍しました。しかし、92 (平成3)年にはより速い「のぞみ」が登場。東海道・山陽新幹線の代表の座を奪われてしまいます。高速化はその後も進み、2003(平成15)年10月には東海道新幹線の最高速度を時速 270キロにすることが決定。100系は騒音基準をオーバーするため時速270キロでは走れず、高速化の波に乗ることができなかったのです。

 このため、同年までに東海道新幹線からは完全に撤退。山陽新幹線でも「ひかり」からは姿を消し、新しい車両は登場から僅か10年程度でスクラップとなってしまいました。現在は、残った車両が山陽新幹線の「こだま」として走っています。


引退後の「余生」は

 「廃車」は即スクラップ、を意味するわけではありません。大手私鉄や都市圏のJR線から引退した車両の中には、「第2の職場」に移って働き続ける車両も少なくありません。分刻みのダイヤで激しいラッシュをさばく大都市圏の路線では使いづらくなった車両でも、地方の鉄道では十分に使えるからです。

長野電鉄3500系電車
(上)長野電鉄の3500系電車
(下)車内にあるプレート。
製造年「昭和38年」の文字が読み取れる
 例えば、長野県の長野電鉄には、元東京メトロ日比谷線の電車が走っています。日比谷線では1995(平成7)年に引退しましたが、長野電鉄では主力として走り続けています。

 このように、大手私鉄などで廃車となった車両が地方の鉄道に移籍することは珍しくありません。特に、東急電鉄、京王電鉄の車両は各地の鉄道で「第2の人生(車生?)」を送っています。中には、海外の鉄道に輸出される例もあります。


JR東日本107系電車
JR 東日本の107系電車
廃車となった車両のモーターなどを再利用して登場
 廃車されスクラップになっても、部品がほかの車両に活用される例もあります。JR東日本の上越線などを走る107系電車は、廃車となった車両のモーターや台車などを利用して造られた車両です。このように、廃車した車両の部品を再利用するケースは、ほかにも京成電鉄や西武鉄道、横浜市営地下鉄など、各地の鉄道で見られます。



電車の年齢はどこでわかる?

車両の製造銘板
車内に張られたステッカー
「東急車輛 平成20年」の文字が読み取れる
 さて、さまざまな鉄道車両の「寿命」を見てきましたが、肝心な「車両の年齢」はどこでわかるのでしょうか?これは、車内を見渡せば簡単に知ることができます。ほとんどの場合、車端部の壁の天井近くに車両メーカーと製造年を書いたプレートやステッカーが貼られています。

 電車に乗ったら、車内の電光掲示板や吊り広告を見渡すときに、車端部の製造年にも注目してみてください。皆さんと同い年の車両かもしれませんよ。


<Vol.3>電車って何人ぐらい乗ってるの?

 都市圏を中心に、朝の通勤・通学時間帯の列車は混み合います。
 「何でこんなに人が多いんだろう?」
 「それはアンタがいるからだ。アンタがいなければ確実に一人は減る。」という突っ込みも聞こえてきそうですが、それでは一体何人の「アンタ」が退出すれば空くのでしょうか?
まず、一両の電車に何人乗ることが可能か、という話から。

通勤電車の定員

東急5000系外観
標準的な通勤電車の中間車
車体長=およそ20メートル
車体幅=およそ2.8〜2.9メートル
片側の扉の数=4箇所
 JRの標準的な通勤型電車の定員は、運転台無しの車両でおよそ 150〜160人程度。私鉄でも同じ程度の規格、つまり車体長20メートル×車体幅2.8〜2.9メートルクラスの車両もほぼ同じです。つまり、学校にたとえれば、40人学級が4クラス程度のボリュームに相当するわけです。ただし、通勤電車の場合は定員=座席数ではありません。座席数+つり革+アルファ=定員ということになります。


 
それでは座席にはどれ位の人数が座れるかというと、片側4箇所に扉のある車両で多くの場合は54人。
東急5000系車内
標準的な通勤電車の車内風景
多くの場合、座席数は54人分
内訳は、(3人掛けの両車端部 x 2箇所 x 車体両側それぞれ2対=12名)+(7人掛けの中間部×3箇所×車体両側それぞれ2対=42名)。つまり、定員のわずか3分の1 程度しか着席できないということになります。時折、混雑率が150%とか200%とかいう数字を目にすることがありますが、 150%だと5人に1人、200%だと6人に1人しか座れないということになります。

 話は少し間延びしましたが、それでは朝のラッシュ時には、1本の電車に何人乗っているのか?という命題の答えは次の通り。
日本でもっとも混雑するといわれる山手線の上野→御徒町間の最混雑時間帯(8:00〜9:00)の混雑率は216%。
山手線の電車は、およそ160人乗りの車両を 11両つないでますので、160×11×216/100=約3800人が正解です。先述の学校にたとえますと、 40人学級95クラス分というとてつもない数字になります。

 この人数を、仮に定員75名の路線バスで同じ混雑率で輸送するとすれば 23〜24台。1分おきに出発させたとしても 1時間かかってわずか2.5本分しか運べません。そして5人乗りの自家用車だと760台が必要。2箇所の料金ゲートを10秒おきに通過させたとして1時間を要します。こう考えると、鉄道がいかに大量輸送に向いた交通機関であるかということを理解できます。

新幹線の定員

300系新幹線
新幹線の中間普通車
この車両の定員は95人
 通勤用に供される車両に対して、長距離用の新幹線や特急列車など、着席を前提とした車両の定員は、ズバリ座席数ということになります。同じく、普通列車用であっても着席を前提としたグリーン車も扱いは同様。

 それでは何人くらい乗れるかというと、全車普通車で中間車の場合、新幹線はおよそ80人〜100人程度、在来線の特急はおよそ60〜70人程度。ただし、車内販売設備や車椅子スペースなどの車内設備で場所を割いている場合は5人〜10人減るのが一般的です。新聞報道などで、帰省時期に「新幹線の乗車率が 130%」などと表示されますが、この場合は一車両あたり25〜30人ほどが デッキなどに立っている、ということを意味します。

横須賀線グリーン車
2 階建てグリーン車の定員は90人
着席定員増加のために導入された
 ちなみに、グリーン車の定員は、1両全車グリーン車で2階建てでない中間車の場合、新幹線は60〜70人、在来線で40〜50人。同じ構造の普通車に比べておよそ2/3程度です。関東でよく見かける普通列車用の2階建てグリーン車は90人程度まで増えます。




一車両に何人くらい乗ることができるのか

 ある統計によりますと、平成18年度の最混雑時間帯の平均混雑率は、東京圏170%・大阪圏136%・名古屋圏145%。

 
東急田園都市線
東京近郊大手私鉄のラッシュ風景。
この1両の乗車人数は推定250人、車両の定員は
144人なので、混雑率およそ 170%。
首都圏では標準的な混み具合だ
混雑度の目安は、150%=広げて楽に新聞が読める、180%=折りたたむなど無理をすれば新聞が読める、ですから、東京圏ではこの中間、大阪・名古屋圏ではこれよりも空いている、という結果になりますが、昔を知る人にとってはずいぶん楽になったものです。

 昭和50年代の資料によりますと、常磐線〜営団地下鉄(当時)千代田線の混雑率が300%に近いというのがありますが、200%=週刊誌程度なら何とか読める、250%=電車がゆれるたびに体が斜めになって身動きができず手も動かせない、とありますから、このレベルは それ以上の過酷な状態だったわけですね。経験された方にお聞きしますと、靴が月に2足ダメになり、カサを月に2〜3本買い換えねばならない、というほどの凄まじさだったそうです。通勤をもじって「痛勤」とか、当時の呼称、国電(国鉄の電車)をもじって「酷電」と揶揄されたのも理解できます。

山手線6扉車内
朝ラッシュ時には座席がなくなる片側6扉車
乗降時間短縮のために導入された
500人近く詰め込むことができる

 それでは、電車一車両には何人詰め込めるのか。車両の床面積と人間が立っているときの占有面積から簡単に割り出してみることにしましょう。話をわかりやすくするために、JRや一部地下鉄・私鉄で導入されている、ラッシュ時に座席がなくなる車両を例に採ります。

 車両の床面積は、長さ20メートル x 車幅2.8メートルとして56平方メートル。

 人間の占有面積は、肩幅40センチ x 厚さ30センチとして0.12平方メートル。

 したがって、56平方メートル÷ 0.12平方メートル=約467人、という結果が出ました。この車両の定員はおよそ160人ですから、約291%となります。つまり、先述の千代田線の例はまさしく限界だったわけです。

 さらにさかのぼって、昭和30年代後半から昭和40年代初頭の中央線快速では、ドアのガラスが車内からの人の圧力によって毎日のように割れていた、という逸話も残っています。正確な統計はありませんが、おそらく300%を超えていたのではないでしょうか。

座席定員から、座れるかどうかを判断する

 座席定員を知ることによって、都心のターミナル、あるいは郊外の始発駅から乗車する場合に、前から何番目に並んでいるかで座れるかどうかを判断することができます。

整列乗車風景
関東大手私鉄始発駅での整列乗車風景
3列それぞれの4番目までに並べば確実に座れる
 東京圏でもっともポピュラーな車長20メートル片側4扉の中間車両で、3列整列乗車する場合、座席定員54名/4箇所/3列=4.5列目、となります。つまり、順序良く着席する前提で、4列目までの全員と5列目の半分の人が座れるということです。

 これが大阪圏でもっともポピュラーな座席定員はほぼ同じの車長19 メートル片側3扉だと、座席定員54名/3箇所/3列=6列目、となります。 

 一方、新幹線や特急列車の自由席に、東京駅や新大阪駅で並ぶ場合、大抵は片側2扉の車両に一列整列乗車ですから、新幹線だと40から50番目、在来線だと30番目から35番目が座れるかどうかの境目になります。

 電車の座席定員など、一見、知っていても何の得にもならなさそうな知識ですが、案外役に立つこともあるものです。

<Vol.2>プラットホームの話 〜相対式ホームと島式ホーム

 プラットホームとは、鉄道車両の乗り降りに利用するために線路際に設けられた施設を指し、一般的には「ホーム」と呼ばれています。日常的に利用するJR の電車区間や私鉄では、線路面からおよそ1.1メートル。成人の胸部に相当する高さで、その大半がコンクリートで造られています。

 これによって、電車のドア床面との段差を解消し、乗客がスムーズに、かつ安全に電車を乗り降りできるというわけです。そして、駅を建設する際には、地形・線形・線路の本数・乗降客数・運転形態などのさまざまな条件により、駅ごとに線路とホームの関係が決まってきます。

 今回は、その中でもっとも一般的に見られる、路線の中間に位置する駅の形状にスポットを当ててみることにしましょう。

相対式ホーム

相対式
上り線と下り線それぞれに対面でホームが
設けられた「相対式ホーム」の例。
 上り線と下り線それぞれに対面でホームが設けられた形状を、鉄道の専門用語で相対式(そうたいしき)ホームと呼びます。

 対向式ホームまたは対面式ホームとも呼ばれることもあり、通常は、跨線橋、地下道や構内踏切などでそれぞれのホームを行き来できるように設計されています。

 構造が簡単で設計・建設には有利ですし、すでに開業している路線で途中駅を新設する場合は、上下線それぞれにホームを貼り付けるだけで良いので、線路の付替えも必要なく、運転にも支障が出にくいといった利点があります。

 ところが、駅名標やベンチ、売店などの客用設備は上り・下りホームそれぞれに設置が必要で、朝は上り線だけが、夕刻〜夜間は下り線だけが混雑するというような都市圏輸送線区ならば、ホームの幅も最大値に設定せねばならず、開業後には、駅員もそれぞれに配置する必要が生じるため、意外に不経済な要因が多いのも事実です。相対式ホームは、設計・建設には利点があるが、のちの運営には費用が掛かるのが難点といえます。

島式ホーム

島式
1本のホーム両側に、上下線が発着する
「島式ホーム」の例
 1本のホームが、上り線と下り線に両側から抱き込まれるように配置された形状を、鉄道の専門用語で島式(しましき)ホームと呼びます。

 ホームの幅は、通常の上下線の間隔よりもかなり広いスペースを要するので、駅の前後のかなり遠いところから線路間隔を広げるためのs 字曲線が必要となって用地買収上、あるいは運転上(曲線による速度制限など)の支障が生じたり、すでに開業している路線で途中駅を新設する場合は、線路の付替えが必須となり、その間の運転にも徐行など多大な悪影響が予想されます。

 しかし、先述の相対式ホームとは逆に、客用設備は1つで済み、時間帯により混雑方向が異なる都市圏輸送線区でも、ホームの混雑は平均化され、開業後の駅員も相対式に比べて単純計算で半分で済むといった利点があります。島式ホームは、設計・建設には難点があるが、のちの運営には費用を節約できるのが利点といえます。

山手線は島式ホームで大阪環状線は相対式ホームが主体

 東京・大阪という日本を代表する2都市を1周する山手線と大阪環状線。東西文化、考え方の違いを何かと取り沙汰されますが、こと中間駅のホーム配置一つとってもそれが表れています。

目黒駅
山手線の標準的な中間駅は島式ホーム(目黒)
 東京の山手線は、京浜東北線との複々線区間、および池袋・新宿・代々木・大崎といったターミナル乗換駅を除いて島式。内回り線と外回り線しかない駅で、相対式を採用している駅は一つもありません。
渋谷駅は内回り・外回りが別のホームになっていますが、元々島式一面だったが、乗客数増に伴なうホーム拡張が困難だったために、やむを得ず外回り線脇にホームを建設したという経緯があります。

桜ノ宮駅
大阪環状線の標準的な中間駅は
相対式ホーム(桜ノ宮)
 対して大阪環状線は、大阪・天王寺・新今宮・西九条といったターミナル乗換駅と天満駅・野田駅を除いて相対式なのです。

 これは、一説によれば、山手線は盛土上に建設されているので、新駅を建設する際に線路の付替えが比較的容易(当時は沿線人口も少なかった)で、それほど高速運転する予定もなく、のちの運営を考えた場合、各駅のホームが1本の島式の方が有利だったこと。

 対して高架線が主体の環状線は、島式だと高架の桁から作り直さねばならず、上下線それぞれにホームを貼り付けるだけの相対式の方が、総合的に考えて有利だったこととされています。

 機会あれば乗り比べて確認してみてください。

複数のホームを有する場合の呼び方

 相対式・島式という呼び方は、あくまでも上下線それぞれ1本ずつというのが前提でした。

 それでは、2本以上の複数のホームを有する形状をどう呼ぶのか?たとえば、特急や急行などと普通・各駅停車が接続するために、上下線それぞれに本線と待避線がある場合は島式2面4線と呼びます。つまり「(基本的なホーム形状)式(ホームの本数)面(線路の本数)線」ということです。

 ここでクイズを一問

 日本でもっともホーム数の多い駅は何駅でしょう?
 駅名と「(基本的なホーム形状)式(ホームの本数)面(線路の本数)線」を答えなさい

 正解は、東京駅で島式14面28線

東京駅ホーム
日本でもっともホーム数の多い東京駅
電車の発着がひっきりなしで、ほとんど見通せない
 中央線 x 1面2線+山手・京浜東北線 x 2 面4線+東海道本線 x 2面4線+東北・上越・
長野新幹線 x 2面4線+東海道新幹線 x 3面6線+総武快速線 x 2面4線+京葉線 x 2面4線

 ただし、総武快速線と京葉線は地下ホームなので、一同に見通せることはできません。

 実はホームの形状には、「相対式」と「島式」以外にも「単式」「千鳥式」「切欠き」「櫛形」など、多数あります。これらはまた別の機会に触れてみることにしましょう。

<Vol.1>「各駅停車」と「普通」の違いは?

 大都市圏に限らず、多くの鉄道路線で、「特急」「急行」「準急」「快速」などの種類を見かけます。これらを鉄道の専門用語では、「列車種別」と呼びます。

 そしてたとえば、一口に「特急」といってもその性格はさまざま。JR幹線筋を高速でブッ飛ばす長距離列車、停車駅の少ない私鉄の通勤電車、豪華な設備を誇る夜行列車、そして、新幹線の各列車も「特急」の仲間に入ります。
「普通」
東京メトロの全駅停車列車は「名無し」。
行き先だけが表示される

この列車種別は、いわば列車の「序列」のようなもので、一般的には、特急>急行>準急>快速・・・という順番になり、上位の種別ほど停車駅が少ないのが通例ですが、東武では、特急>快速>急行>準急、となりますし、近鉄や阪急のように、特急より下位で急行より上位の列車を「快速急行」と命名してみたり、西武や東急のように、通勤時間帯だけ停車駅の変わる「通勤特急(急行)」というように、特定の名称を列車種別の頭に冠してみたり、一定の法則というものはありません。
ちなみに「特急」や「急行」のような停車駅を限定して運転される列車のことを、「優等列車」と総称する場合もあります。

 それでは、その「優等列車」に対して、全駅に停車する列車のことを、どのように呼ぶのでしょう?

「各駅停車」とお答えの方。
正解ですが、JRの正式な列車種別は、近距離の通勤電車の場合は「普通列車」、新幹線の場合は各駅停車であっても「特別急行列車」です。

「普通」とお答えの方。
正解ですが、JRでは「新快速」や「特別快速」も「普通列車」です。

「鈍行」とお答えの方。
正解ですが、正式な呼び名ではありません。

「各駅停車」であっても「普通列車」ではない例

 「各駅停車」あるいは「各停」=「近距離区間を結ぶ普通列車」、というイメージがありますが、新幹線の各駅停車、たとえば東海道新幹線の「こだま」、東北新幹線の「なすの」、上越新幹線の「たにがわ」などは、特別急行(特急)列車に分類され、乗車するには特急券が必要です。

 これらは、新幹線は並行する在来線に対して主要駅しか駅がなく、新幹線上の各駅に停車する列車であっても、実質的には主要駅に停車する特急列車とみなされているからです。英語標記でも普通列車を表わす「Local」ではなく、新幹線を表わす「Super Express」と表示されます。

JRでは、「新快速」「特別快速」であっても「普通列車」

「普通」
「各駅停車」略して「各停」。
関東ではもっとも一般的な呼び方
  JRの「普通列車」とは、完全に定義付けられており、「特別急行(特急)列車」「急行列車」以外の旅客列車のことをいいます。

 その中には、特急列車顔負けのスピードで走る快速列車もありますが、 JRでの正式な列車種別は「普通列車」。「新快速」とか「特別快速」とは、単に旅客案内上の種別ということです。

 要するに、途中駅を通過する場合であっても、特急券などの特別料金が必要なく、乗車券のみで利用できる列車が「普通列車」と考えれば間違いありません。

 また、先に挙げた横浜線や京浜東北線、さらには常磐線や総武線の「各駅停車」なども、旅客案内上の種別でそのように呼んでいるだけで、正式には「普通列車」となります。そして、「青春18きっぷ」で乗ることができる列車は、この種類の列車ということになるのです。

「鈍行」は、普通列車のニックネーム

 「鈍行(どんこう)」という呼び方も、しばしば用いられます。

 これはいわゆるニックネームで、正式な列車種別にも旅客案内上の呼び方にも登場することはありません。誰が名付けたのかは不明ですが、「鈍(にぶ)い」という言葉を冠していることから推察できるとおり、およそ格の高い存在を表わした言葉ではないようです。
鉄道趣味誌などでは「ドン行」と標記される場合があり、そこにはむしろ好意的な響きさえ感じられます。

 しかし、いくら全駅停車するとはいえ、高加速で時速100キロで軽快に駆け抜けるシルバーボディーの電車のイメージには、いささかそぐわないような気がします。「鈍行」という名称は、蒸気機関車が現役時代の客車普通列車(専門的には客レと呼ばれます)にふさわしいように思うのですがいかがでしょうか。

関東では「各駅停車」、関西では「普通」が一般的

「普通」
関西JRの行き先表示板の例。私鉄も含めた
全駅停車列車の一般的な呼称は「普通」
 一般的に、関東私鉄では「各駅停車」あるいは「各停」、関西では「普通」と呼ぶ場合が多いようです。このことはJRでも例外でなく、関東の横浜線や京浜東北線など、快速運転されている路線の全駅停車列車は「各駅停車」。関西のJR京都線・神戸線、阪和線のそれは「普通」と表示されます。

「普通」
関東の私鉄でも、東武の
全駅停車列車は「普通」
ただし、これにも例外がありまして、関東の私鉄でも東武や京浜急行では「普通」、関西でも南海高野線では「各駅停車」と呼びます。

 もっとも、南海高野線でこのように呼ぶのはわけがありまして、南海本線と並走する難波〜岸里玉出間の今宮戎と萩ノ茶屋は、高野線側しかホームがなく、南海本線の列車は全列車が通過します。そのため、この2駅以外のすべての駅に停車する南海本線の列車を「普通」、この2駅も含むすべての駅に停車する高野線の列車を「各駅停車」と呼び分けているのです。

 一般的に、各駅停車とは、近距離区間を結ぶ全駅停車の電車と、同じ路線を走る都市部の小駅を通過する中長距離の普通列車とを区別するための旅客案内上の名称だったようです(正式名称はどちらも「普通」)。

関東の幹線では、このような運転形態が多く見られたのに対し、関西では、近距離の普通電車と中長距離の普通列車が混在する路線が東海道・山陽本線くらいで、私鉄はもちろんのこと、当時の国鉄も含めて一部例外があるものの「普通電車」=「各駅停車」であったという歴史的な経緯が、両者の呼称に影響を与えているようです。

 もし、新橋駅前の広場(関東)と梅田駅前の歩道橋(関西)で、「全駅に停車する列車のことを、どのように呼ばれますか?『各駅停車?』『普通?』それとも『鈍行?』」という街角アンケートを取ったとしたら、果してどのような結果が出るのでしょうか?いつか鉄道旅行なび で試してみることにしましょう。